2018年8月29日水曜日

新潟県市議会議長会 議員研修会 2018年8月28日 アオーレ長岡 北川正恭氏講演

第一回となる新潟県内自治体の議会対象に研修会、情報交換会が開催されました。
主催:新潟県市議会議長会
期日:平成30年8月28日(火)
会場:アオーレ長岡 アリーナ

プログラムの内の北川正恭氏の70分におよぶ講演の内容のメモ(私的メモですので内容について正しく聞き取れなかった部分もあります)

北川正直氏:早稲田大学名誉教授、早稲田大学マニフェスト研究所顧問。三重県議会議員3期、衆議院議員4期、三重県知事2期歴任。知事時代にゼロベースで事業評価し改革断行。地方分権の真っ只中でそれぞれの立場での経験談と思いを語っていただいた。

  • 議会の役割が根底から変わって来た。議員の立ち位置を変えて考える。地方分権推進。監視機能+政策提案権(立法) 決定権は議会にある。→そのためには調査費が必要(政務調査費)
  • 衆議院議員の時、政治改革 国会議員全会一致で分権国家→「地方分権推進法」1995年、25年前。知事になり、県会議員のボスを呼んで徹底的に改革をすると話をした。
  • 部長連中が、議員に対して議会に敬意を欠いていた。議員の言うとおりやれと言ってやったら、結果議会がガタガタになった。辞めるか議会解散かになって、気づいた。これをこれまでやらなかったから、地方政治が信頼されなかった。→執行部が良くなったのは議会のおかげ。
  • (国からの通達を受けて施策決定をしようとしていた執行部に対し)公務員が、命によって選ばれた知事に通達してどうするんだ?これまで通達を受け継いで来た、これがいけない。事務次官通達を壊すことが、自分の役割だった。県は8割、市は40〜50%が下請け→地方分権で変わった。→国と県は対等協力へ。
  • 地方自ら仕事を作っていこう(地方創生)が、今の地方政治の使命。「元気になった。人口減が止まったよ。」とする。
  • 首長部門には限界。「法律、条例にのって平等にやってるよ。」→執行部は現状維持の体質。法律重視の執行部と議会は立場が異なる。議会の最大の使命は民意の反映。法律が間違っていたら議員が直せる。→政策提案機能
  • 執行部との関係を変えていく覚悟。「地方は地方議会から変える」を市民に見せる。プロ意識、命がけ
  • 2014年までに総合戦略たてたら補助金つけます。→地方創生は失敗。成功しているのは地方創生以前からやっていたところ。
  • 執行部は補助金欲しさに強いことが言えない。自立して立派な宝を探そうよ。→議会。
  • 国に対してものが言える地方であるべき。議会は監視ばかりでなく、政策立案の権利がある。執行部の追認機関ではない。
  • 議員と議会の関係。議員の総体としての議会の活動は一回も行われていない。
  • 議会の改革。(人、金)量的削減は終わった。政務活動費は無いといけない。優秀な人を集めるにはどうするか。議会全体で市民の付託に応えるべき。チーム議会。議会事務局が頑張れるように。
  • 神奈川の例。議長マニュフェスト 議会事務局なくす(議会局にする)。議会と事務局のありかたを考える。
  • 市民は、議員や執行部には何を言ってもいいと思っているがそうではない。議会報告会など、議員が進行をせず第三者を入れても、正しい意見交換をする。
  • 議会の執行権はチーム議会として行う。サポーター制度、モニター制度(第三者)を通じて議員の仕事を監視。
  • 横浜市議会市議団。条例制定をマニュフェストで。地域と相談。議員提案条例、4年間で7本作った。執行部を変えるチャンス。
  • 岐阜県可児市。教育・・シチズンシップ教育はやる気なし。議長中心に市議会が教育委員会と話しをして、議会が公民教育をする。と動いた。高等学校3年の公民教育を行った。真剣にやろう。商工会議所と議会が取り組んで、成果を出した。→執行部も考え直す。
  • 地方創生法→地方政府を作る。
  • 議会報告会をカフェ形式でやったらどうか?最近増えてきた。ワークショップ形式。ファシリテーター。大学と議会が協働して、対話の方法を改善する。大津市、立命館他の大学と協働。自由な雰囲気ができた。
  • 通年議会。定例会、首長が招集するのはどうか。意見交換会のやり方を変える。議会改革。


事例発表では、長岡市議会 五井文雄氏(長岡市日本酒で乾杯を推進する条例について)、上越市議会 武藤正信氏(上越市議会議会改革のあゆみ)。


情報交換会では、新潟県知事の挨拶も。


先月、来妙のお礼を申し上げました。

2018年8月22日水曜日

持続可能のための協働のプロセスと評価方法

ここ数ヶ月私は、いろいろな必要性から徹底的に「社会的影響力」について学び直してきました。
今の社会を、ずっと続けながらよりよい社会を目指し、後世に残していくために、何が必要でどんな手段が有効か。

そこで出てくる言葉は・・・
多様性(ダイバーシティ)、持続可能性、CSR、SR、CSV、マルチステークホルダープロセス、コレクティブインパクト、SDGs、ESD などです。
それぞれの言葉は検索で調べればいくらでも解説があります。ただ、繋げて理解するのに苦労が要りました。

学びながら経験したことの一つは「同じ方向を向いていると自ずと繋がってくる。」
ダイエットが目的で食事や運動をするというのがありますが、本来、正しい食、正しい運動をしていれば美しく健康な身体になっていくはずで、大事なのは減量ではなく健康であり、後者を実践していると身体の健康ばかりではなく心も健康になり、社会的にも良い影響が与えられるはずです。後から気づく部分もありそうですが、この価値観の違いを知ること、そして本来の目標に対する評価を何に設定するか、これが重要なことです。

社会教育施設を調査していた際に訪ねた民間の子育てシステムが、官民学による新しいまちづくりの一拠点の中にある学びのプログラムであったことに後に気づき驚いたことがあります。
その意味で、縦割りやトップダウンで手段が目的化した事業は理念が抜け落ち、こうした発見は得にくいだろうと思います。ただし、政策はシステムに寄るものですから、価値観の違いを引き合いにするわけにもいきません。

社会的影響力のキーワードは、「協働」です。
そこを、産官学金労言、官民、などと言ってしまうと手段にばかり目が行ってしまいます。
取り組み方として参考になったのが、コレクティブインパクトです。

コレクティブインパクトの5つの条件
①ビジョンの共有
②評価基準の共有
③お互いに補い合う
④コミュニケーションを維持する
⑤独立したサポート組織による支援

一番難しいのが②ではないでしょうか。他は努力目標が立てやすい。

私は地域(住民)がいかに自力で工夫して課題解決をしていくか、それを持続的に発展できるかが地域を単位にしたまちづくりの必要条件だと考えています。
そのために社会教育があり、同時に幼児〜学校〜家庭〜社会、それぞれがバランスのとれた教育システムが必要です。そこに個人、家庭、地域の連続が生まれます。地域が一体となった意思決定の受け皿となります。

教育は保証されているという前提で、さらにそれをまちづくりと繋げていくには、行政の支援が必要です。人と政策と財源です。どれも大事ですが敢えて政策に言及すれば、教育とまちづくりは別個の手段であるところに、いかに共有されたビジョンや補間機能を持たせるかは、行政が司るシステム作りであり、首長のクリエイティビティや戦略にかかってきます。

これからの社会は住民による課題解決が不可欠です。ベースにあるのが持続可能(サスティナビリティ)であることは多くの方が認めています。
財政面ももちろん、コミュニケーションを維持し続けるために、自己改善と発展を継続していくべきです。
そこに、ヒト・モノ・カネをマネージメントする経営感覚が不可欠です。

そうして、教育・まちづくり・ビジネスに関係する多様な主体が持続的に協働するために必要なものは、やはり共通のまたは共有できる評価基準でしょう。これが無ければ同じモチベーションを持ち続けることはできません。

評価方法については、特定の評価指標を予め設定して取り組むのも一つの方法でしょう。その他にも、「社会的投資回収率(SROI)」「社会的インパクト評価」とか、いろいろあることはありますが、そこをどう設定するかはケースバイケースで、その方法すらも正しいかどうか評価することは大変難しい。まだまだ研究の余地があります。

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Creating Shared Value=CSV、Corporate Social Responsibility=CSR
CSVは、協働するお互いがメリットのある活動
CSRは、企業の社会的責任、 SRは、組織の社会的責任

コレクティブインパクト、CSV、CSRの資料(PDFファイル 村越作成、インターネットより文章を引用しています)

2018年8月2日木曜日

H30妙高市地域活性化アドバイザー 朝比奈一郎 氏 講演会 メモ「地方創生とリーダーシップ(始動力)」

朝比奈一郎 氏:青山社中株式会社 筆頭代表CEO ビジネス・ブレークスルー大学 大学院 客員教授、プロジェクトK(元経産省)、地域創造力アドバイザー(総務省 2018)ブログ

  • はじめに:妙高市は知名度がある。リーダーとは、指で導く人のことではなく→リーダーシップ、始動力が地方創生のカギである。
  • リーダーの出来で全てが変わる
    • GAFA ←(30年前は)ホンダ、松下、盛田 。リーダーの差である
    • 無理なこと、不可能なことにチャレンジして当たり前にしていく人
    • Entrepreneurial System Designer ESD →企業システム設計者
  • 体験的リーダーシップ論〜私が始動力に着目した理由〜
    • 「変わらずに生き残るためには、変わらなければならない。」We must change to remain the same.(米国大学、リーダーシップの重要性:変革)※小沢一郎氏が民主党代表選出馬演説で、ルキノ・ヴィスコンティ監督の名画「山猫」に出てくるイタリア老貴族の言葉を引用したことで有名になった
    • 米国の学びは、ケーススタディ。
  • 私の考えるリーダー像 リーダーシップの要諦
    • ✖️みんなが付いて行きたい人  ○やりすぎる力、始動力
    • リーダーとマネージャーの違い(リーダー/マネージャー) Creation創造/analysis分析、personal個人的/positional定位置、synchronize同期する/controlコントロール
    • Management is doing things right, Leadership is doing the right things.(マネジメントとは物事を正しく行うことであり、リーダシップとは正しい事を行うことである。ピーター・ドラッカー
    • 自己を導く→人を導く→社会をリードする)Lead the self → Lead the people → Lead the Society(桃太郎)
    • リーダーのリスク:なぜチャレンジできないか? active non Action(不毛な忙しさ)→Trained incapacity(訓練された無能)
    • コツ:1.怒り 2.仲間、3.タイミング(credit accumulation 信用蓄積 → idiosyncratic behavior 突然変異)
    • 後世に残すことは「勇気ある生き様」
  • 現在の社会情勢を考える〜今、なぜ、リーダーが必要か?〜
  • リーダーシップを発揮するために何を学ぶべきか
    • 野田智義(NPO法人ISL…リーダーシップ教育・社会啓発 基軸力(→人生のケースタディを学ぶ…岡倉天心とか・・)、構想力(→総合的に考える力)
  • 地域の活性化に向けて妙高市の皆さんに期待したいこと
    • これまでは金をどのように配分するか(田中角栄〜竹下登)
    • CCRC、DMO、新しい地方創生、ビッグデータや新しいコミュニティを作っていく。マーケティング、人をどう作っていくか?
    • 経済活性化。自分たちでどう考えていくか。
    • 1.シンボル作り(アイデンティティ) 2.海外展開 3.起業を促す地域エコシステム 4.クリエイティブクラス 5.BtoCシフト 6.融合 7エコノミックガーデニング 8.シュタットベルケ
    • 歴史・食(中心市街地)別院、君の井、笠地蔵、北国街道/健康長寿/高級リゾート


【村越調べ】

  • 8つのキーワードの3番に関連して:多様で活力ある小規模スタートアップを促進するエコシステムの構築に関する研究会報告書(H29 研究会委員(所属・役職名は委嘱時点): 岩野 和生(国立研究開発法人科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェロー) 村井 勝 (一般社団法人 TX アントレプレナーパートナーズ最高顧問) 山田 純 (クアルコム株式会社特別顧問)
  • クリエイティブクラス (on Google)
  • エコノミックガーデニング:米国 環境整備による中小企業の成長支援、ビッグデータ、GIS。商工会議所、大学等連携。※関連:CVS、コレクティブインパクト
  • シュタットベルケ:独国 エネルギーを中心とした地域公共サービスを担う公的な会社