2016年9月22日木曜日

(政策資料まとめ)「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」

明日の日本を支える観光ビジョン構想会議

訪日外国人旅行者数2000万人の目標達成が視野に入ってきたことを踏まえ、次の時代の新たな目標を定めるとともに、必要な対応の検討を行うため、明日の日本を支える観光ビジョン構想会議を開催する。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kanko_vision/

第2回 明日の日本を支える観光ビジョン構想会議

議  事

  1. 日時: 平成28年3月30日(水)13時10分~13時40分
  2. 場所: 官邸4階大会議室
  3. 議題:
    • 「明日の日本を支える観光ビジョン」(案)について
    • 意見交換

配付資料

以下議事要旨



第2回 明日の日本を支える観光ビジョン構想会議 議事要旨


1.日時:平成 28 年 3 月 30 日(水)13:10~13:40
2.場所:官邸4階大会議室
3.出席者:


(政府側)
安倍内閣総理大臣(議長)、菅内閣官房長官(副議長)、石井国土交通大臣(副議長)、麻生副総理・財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融)、石破地方創生担当大臣、加藤一億総活躍担当大臣、遠藤東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣、高市総務大臣、岩城法務大臣、馳文部科学大臣、森山農林水産大臣、林経済産業大臣、丸川環境大臣、松本内閣府副大臣(代理出席)、武藤外務副大臣(代理出席)、萩生田内閣官房副長官、世耕内閣官房副長官、杉田内閣官房副長官、和泉内閣総理大臣補佐官、長谷川内閣総理大臣補佐官、古谷内閣官房副長官補、田村国土交通省観光庁長官(有識者・敬称略)
石井至(石井兄弟社(旅行ガイド出版社)社長)、井上慎一(Peach Aviation株式会社代表取締役 CEO)、大西雅之(鶴雅グループ代表)、唐池恒二(九州旅客鉄道株式会社会長)、デービッド・アトキンソン(小西美術工藝社社長)、李容淑(関西国際大学客員教授)


4.議事概要

○石井国土交通大臣より、「明日の日本を支える観光ビジョン」(案)について説明

  • ・これまでの議論を踏まえ、「観光先進国」という新たなステージへ進んでいくに当たっての課題を整理した上で、必要な対応策を「3つの視点」ということで全体的に体系化し、「10の改革」ということで目玉となる施策を位置づけた。
  • ・「視点1」として、「観光資源の魅力を極め、地方創生の礎に」という打ち出しを行う。

第1に、迎賓館などを念頭に、「魅力ある公的施設」を、ひろく国民、そして世界へと大胆に開放し、観光の呼び水とする。
第2に、我が国の「文化財」を、「保存優先」から観光客目線での「理解促進」、そして「活用」へと大きく舵を切る。
第3に、豊かな自然が凝縮された「国立公園」を、米国のイエローストーン国立公園のような、世界水準の「ナショナルパーク」へと生まれ変わらせる。
第4に、主な観光地で「景観計画」をつくり、美しい街並みへと徹底改善する。

  • ・「視点2」として、「観光産業を革新し、国際競争力を高め、我が国の基幹産業に」という打ち出しを行う。

第5に、宿泊業や通訳案内士等に関連する 60 年以上経過した古い規制を見直し、生産性を大切にする観光産業へと変貌させる。
第6に、欧米豪や富裕層等を念頭に、あたらしい市場を開拓し、長期滞在と消費拡大を同時に実現する。
第7に、疲弊した温泉街や地方都市を、DMO の形成や人材育成等を通じた未来発想の経営で、力強く再生・活性化させる。

  • ・「視点3」として、「すべての旅行者が、ストレスなく快適に観光を満喫できる環境に」という打ち出しを行う。

第8に、あらゆる場面でのソフトインフラを飛躍的に改善し、世界一快適な滞在を実現する。
第9に、「地方創生回廊」を完備し、全国どこへでも快適な旅行を実現する。
最後に、「働きかた」と「休みかた」を改革し、躍動感あふれる社会を実現する。

  • ・以上の「10の改革」を、この「観光ビジョン」の柱とし、関係各府省庁とも連携しながら、強力に推進していく。

○民間の有識者委員より、順次発言を聴取(以下、要約)。

  • ・観光ビジョンをぜひ実現して頂きたい。今回の観光ビジョンには間に合わなかったが、ふるさと納税のお礼の品に国内旅行を入れることを自治体に義務付けること、及び観光庁の執務環境の改善の2点をお願いしたい。
  • ・イン・アウト双方向の流動活性化に配慮された政策。本構想会議を踏まえ、東北の観光復興や複数の海外空港と国内地方空港とを結ぶ国際線の開設の推進などに取り組んでいきたい。
  • ・アイヌなどの先住民による自然と共生した文化を、先進地カナダやオーストラリアのようにスケールの大きな観光・文化資源として育て、強力に発信して頂きたい。ゴールデンルートから地方への大きな推進力になることを確信している。目の前に広がる大観光時代は世界との競争であり、個別業界だけの利害にとらわれることなく、世界水準の取組をしていきたい。
  • ・内閣の観光に対する本気度がひしひしと伝わってくる、素晴らしい提言。観光イコールまちづくりという精神がこの提言の中に十分盛り込まれ、メリハリのきいた提言としてまとめられている。
  • ・素晴らしい内容で、大改革が訪れることに大きく期待。特に、文化財が保護から活用に変わっていくことで文化も復活すると期待している。観光ビジョンに盛り込まれた改革により、現状 1.2%ほどである日本の文化 GDP を 4 倍程度と欧米並みにすることも十分可能。
  • ・公的施設・インフラの大胆な公開、文化財の観光資源としての開花、滞在型農村漁村の確立、民宿サービスのあり方への対応、トップレベルの経営人材の恒常的な育成、古民家の宿泊施設へのイノベーションの実施、世界水準のDMO、CIQ機能の強化、海外発行カード対応の ATM の設置などは画期的な取組。

○意見交換
(麻生副総理・財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融))

  • ・外国人から見た日本の魅力を理解する感性を、永田町や霞ヶ関にも磨いてほしい。また、電柱の地中化は積極的にやって頂きたい。加えて、治安の良さは手を抜かず、きちんとやり続けてリピーターの確保につなげてほしい。
  • ・財務省としては、この3年間、毎年大幅に税関職員を増やし、各地の CIQ待ち時間の解消に努めている。

(石破地方創生担当大臣)

  • ・観光関連産業の労働生産性の向上による、ローカル経済における雇用の安定と所得の向上は「地方創生」にとって大きな課題。
  • ・「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2015 年 12 月閣議決定)において、日本版 DMO を 2020 年までに全国で 100 設立することとしている。関係省庁とも連携し、この取組を加速化していく。

(加藤一億総活躍担当大臣)

  • ・一億総活躍国民会議でも働き方改革について議論を進めており、ワークライフバランスを図るという観点から、観光ビジョンに盛り込まれた「働き方、休み方改革」と軌を一にするものと認識。しっかり連携したい。

(遠藤東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣)

  • ・2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、新たな観光ビジョンの実行のための大きな弾みとなるものであり、大会の成功及び大会のレガシーを遺すため、ユニバーサルデザイン 2020 や文化プログラム beyond2020などを関係大臣と連携して全力で取り組んでいく。

(高市総務大臣)

  • ・無料 Wi-Fi 環境の整備、IoTや多言語、音声翻訳の活用などの取組、放送コンテンツの活用などの取組など、「観光先進国」となるために不可欠な施策に取り組んでいく。

(岩城法務大臣)

  • ・バイオカート導入による個人識別情報の事前取得や顔認証技術を活用した日本人の出帰国手続の自動化など、最先端技術を活用した革新的な出入国審査により、円滑な入国審査と厳格な水際対策を高度な次元で両立させ、一層の観光立国の推進に寄与していく。

(馳文部科学大臣)

  • ・文化財やスポーツを積極的に活用・発信するとともに、観光経営大学院の開設をはじめとした教育に関する取組を、関係省庁と連携しながら取り組んでいく。

(森山農林水産大臣)

  • ・「食と農の景勝地」として認定することをはじめ、農山漁村での宿泊の推進などを図ることを通じて、インバウンドと農林水産物・食品の輸出を一体的に進めていく。

(林経済産業大臣)

  • ・クールジャパン機構等による1兆円規模の事業支援や、観光施設等における100%のクレジットカード決済対応など、数値目標を掲げてしっかり取り組んでいきたい。

(丸川環境大臣)

  • ・「国立公園満喫プロジェクト」として、2020 年を目標に5カ所程度の国立公園で計画的、集中的に外国人を呼び込むためのステップアッププログラムを進め、2020 年までに外国人国立公園利用者数を年間 430 万人から 1000 万人に増やすことを目指す。
(松本内閣府副大臣)※河野行政改革担当大臣代理
  • ・関係府省庁等との調整の結果、首相官邸から日本銀行に至る 15 施設の公開を拡充することとなった。所管府省庁及び日本銀行の協力に感謝する。
(武藤外務副大臣)
  • ・関係省庁と連携して、潜在力の大きな市場につき戦略的にビザ緩和を重点的に検討していく。同時に、在外公館や放送コンテンツ等を活用し、日本の魅力を広くわかりやすく世界に届けていく。

○安倍内閣総理大臣ご発言

  • ・観光は、我が国の成長戦略の大きな柱の一つであり、そして地方創生への切り札である。GDP600 兆円に向けた成長エンジンでもある。
  • ・本会議では、民間委員の皆様から、大胆かつ実践的な御意見を多数いただき、関係者全員が観光の意義を理解するとともに、我々政府の意識も大きく変わった。
  • ・次なるステージに向けて、野心的、かつ、具体的な政策に満ちた『明日の日本を支える観光ビジョン』を、本日、ここに決定できた。これは、ひとえに民間委員の皆様のお陰であり、深く感謝申し上げたい。
  • ・赤坂や京都の迎賓館など、魅力ある公的施設も大胆に開放し、観光の呼び水とする。豊かな自然が凝縮された『国立公園』を、世界水準の『ナショナルパーク』に生まれ変わらせる。
  • ・そして、『世界が訪れたくなる日本』を目指し、今日決定した『10の改革』を着実に実行していくことで、『観光先進国』という、新たな高みを、国を挙げて実現していく。
  • ・4 年後に迫った、オリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、そして、オリパラ後も見据えて、新たな目標に挑戦する。
  • ・訪日外国人旅行者数について、2020 年に 4,000 万人、2030 年に 6,000 万人を目標とする。
  • ・また、地方と消費をキーワードに、質の高さも求め、訪日外国人旅行者の消費額について、2020 年に 8 兆円、そして、地方部の外国人の宿泊者数について、2020 年に 7,000 万人泊、などの目標も設定し、観光を基幹産業へと成長させていく。
  • ・2020 年に 4,000 万人、2030 年に 6,000 万人。この目標については、明日から、一部からは批判もあるかも知れない。しかし、私が官房副長官当時、1,000万人に目標を設定した際にも、それは無理だと言われた。安倍政権ができて、2020 年に 2,000 万人も難しいのではないかと言われたが、それを見事に前倒しで、それぞれ実現をしている。今大きく、皆様のお陰もいただき、政府も世の中も変わってきた。スピードが出てきた、この加速を生かして、この目標に到達をしていきたい。
  • ・『できることは全て行う』方針のもと、『観光先進国』への新たな国づくりに
  • 向けて、政治が前面に立ち、常に先手を打って、万全の対策を講じていく決意である。

○菅内閣官房長官ご発言

  • ・「明日の日本を支える観光ビジョン」(案)について、「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」として取りまとめることとする。
  • ・これをもって「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」を閉会とする。
  • ・本日の議事については配布資料を含めて公開させていただくことを予定しているのでご了解いただきたい。

以上