2021年1月22日金曜日

アフターコロナの過疎地域の選択は(地域運営組織の再考)

 国が進める地域運営組織については過去に取り上げ(私が注視するローカルアベノミクスの「地域運営組織」2016年)議会でも質問した。4年後 妙高市は2020年(令和2年度)第3次妙高市総合計画に盛り込みようやくこの地域運営組織に取り組み始めた。 地域運営組織とは、住民が組織を作り自分たちの生活に関わる様々な事業運営や課題解決を行う住民自治組織のことだ。
地域運営組織づくりに定石など無いと当時からそう思っていた。地域にはそれぞれの特有の事情があり同じものは2つと無い。そのため当てはめ型の政策は間違いなくうまくいかない。

人口減少、高齢化する地域社会はコロナ禍でどんな変化があったか。2019年までと同じやりかたで進めて良いものか。
改めて整理してみた。

地域運営組織とは 共助の再構築である

段階的な変化:「自分のため(自助)」から「持続可能な地域」へ

1step.自分のために自分のことを →あたりまえだけど先ずは自分

自分のスキルアップや体力づくり、収入アップも含めて楽しく暮らすための活動

2step. 自分のために周りのことを →自分だけ楽しくても幸せではない

自分だけが良ければという論理は崩れ去る。企業活動も含め自分ができることで周囲の環境改善を試み、影響を計測する

3step.全体のために自分のことを →みんなのために自分が動いてみる

さらなる地域環境の改善のために自分の可能性の拡大を試み、より社会性を帯びた活動へ

4step.自分たちで全体のことを →みんなで動くことでみんなが幸せになれる

自助・私助の限界の打破と協働のメリットを享受するため、共助のありかたを改めて考える

共助とは何か?これまではどうだったか、これからはどうか

私が公益的活動に本腰を入れたのは2004年から。それまで公益(共益)とは縁遠かった私は国策による地方への財源移譲*のいきさつや、当時の共助のありかたの議論に参加しないまま市民活動の仲間に入っていった。    *keyword:地方分権一括法・三位一体の改革・新しい公共
そこで私は「一体感のある小集団活動」=すなわちクラブ活動(的なもの)がコミュニティの種となることを学び、それが社会教育が期待する成果と確信した。自治体は社会教育の責務を果たし自助を支援し、それによりコミュニティを保持していくべきなのだ。

高度成長期以降、ムラ(主に中山間集落)の社会構造が希薄になった近代は「共(互助行為)」が減衰し取って代わるものが必要となる。その時点で「新たなコミュニティが作れたがどうか」が地域の最大の分かれ目だったと振り返る。
その後地域は必要に応じ新しい共助が育っていったことは確かだ。一方で自治体はムラ社会崩壊から現在までの道のりを正しく分析してきたか。そして市民に寄り添う政策はほんとうに機能してきただろうか。

2021年、コロナ発生から1年が経過し、現在第3波により連日過去最高の感染者数が報告されている。    2021年1月22日現在
いずれは今回の波も収束し復興に向かわなければならないのだが、国の一極集中是正の地方回帰策やシェアリング技術などによる新コミュニティ戦略の路線は今後も通用する、と国や自治体は考えているのだろうか。私は悲観視している。

なぜならムラの互助行為が衰退し、代わりとなるコミュニティ作りに際立った成果を残せなかった自治体である。本来はその後にやってくる人口減少・高齢化の潮流に打ち勝つべく、地域内助、地域外助のバランスの取れたエコシステムをなんとか踏ん張って形成しておくべきだった(いずれ内助が立ち行かなくなり、外助によって地域の絆に亀裂を作ってしまぬよう)。
こうした整理があやふやなまま今やろうとしていることは、外助が参画したフォーマットを「旧ムラ」を拡大した枠組みで作ってしまおうという動きだ。これはともするとヒトゴトの助長に過ぎない結果になる。

地方にとってコロナ禍最大のインパクトは、これまでとは一転したインバウンド政策の中断と、物理的なディスタンス(オンライン化)ではないか。国をあげて人口減少対策にまい進している最中に、経済の流れが変わりデジタル科学が一気に加速する。そして2019年以前のやりかたはハシゴを外されたように通用しなくなる危険性を持ち、新たな展開が求められる。過去には許された持続不可能な選択はもうできない。

人口減少の著しい過疎地域はさらなる苦境に立たされ、生活の選択を余儀なくされ、ヨソモノワカモノ(外助依存の姿勢)などと言っていられなくなる。いよいよ個々が自律した住民共助(地域運営)の時代に入ってくる。
これまでも人類が乗り越えてきた自然災害や経済恐慌、それ以上の覚悟でこれまでに囚われない持続可能な共助を作り出す必要があるのだ。

参考

高度成長期から令和3年までの変動

  • 高度成長期(1960)
  • 阪神淡路大震災(1995)
  • 地方分権一括法(2000)→三位一体改革(2005)
  • 日本の人口ピーク(2008)
  • 東日本大震災(2011)
  • 新型コロナウイルス(2020)

参考文献の図表化

共助の強化によるコミュニティの再生 流通経済大学 恩田守雄 氏
/計画行政(2012)特集論説「公と私を媒介する新しい地域公共圏の可能性」より




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