2018年8月29日水曜日

新潟県市議会議長会 議員研修会 2018年8月28日 アオーレ長岡 北川正恭氏講演

第一回となる新潟県内自治体の議会対象に研修会、情報交換会が開催されました。
主催:新潟県市議会議長会
期日:平成30年8月28日(火)
会場:アオーレ長岡 アリーナ

プログラムの内の北川正恭氏の70分におよぶ講演の内容のメモ(私的メモですので内容について正しく聞き取れなかった部分もあります)

北川正直氏:早稲田大学名誉教授、早稲田大学マニフェスト研究所顧問。三重県議会議員3期、衆議院議員4期、三重県知事2期歴任。知事時代にゼロベースで事業評価し改革断行。地方分権の真っ只中でそれぞれの立場での経験談と思いを語っていただいた。

  • 議会の役割が根底から変わって来た。議員の立ち位置を変えて考える。地方分権推進。監視機能+政策提案権(立法) 決定権は議会にある。→そのためには調査費が必要(政務調査費)
  • 衆議院議員の時、政治改革 国会議員全会一致で分権国家→「地方分権推進法」1995年、25年前。知事になり、県会議員のボスを呼んで徹底的に改革をすると話をした。
  • 部長連中が、議員に対して議会に敬意を欠いていた。議員の言うとおりやれと言ってやったら、結果議会がガタガタになった。辞めるか議会解散かになって、気づいた。これをこれまでやらなかったから、地方政治が信頼されなかった。→執行部が良くなったのは議会のおかげ。
  • (国からの通達を受けて施策決定をしようとしていた執行部に対し)公務員が、命によって選ばれた知事に通達してどうするんだ?これまで通達を受け継いで来た、これがいけない。事務次官通達を壊すことが、自分の役割だった。県は8割、市は40〜50%が下請け→地方分権で変わった。→国と県は対等協力へ。
  • 地方自ら仕事を作っていこう(地方創生)が、今の地方政治の使命。「元気になった。人口減が止まったよ。」とする。
  • 首長部門には限界。「法律、条例にのって平等にやってるよ。」→執行部は現状維持の体質。法律重視の執行部と議会は立場が異なる。議会の最大の使命は民意の反映。法律が間違っていたら議員が直せる。→政策提案機能
  • 執行部との関係を変えていく覚悟。「地方は地方議会から変える」を市民に見せる。プロ意識、命がけ
  • 2014年までに総合戦略たてたら補助金つけます。→地方創生は失敗。成功しているのは地方創生以前からやっていたところ。
  • 執行部は補助金欲しさに強いことが言えない。自立して立派な宝を探そうよ。→議会。
  • 国に対してものが言える地方であるべき。議会は監視ばかりでなく、政策立案の権利がある。執行部の追認機関ではない。
  • 議員と議会の関係。議員の総体としての議会の活動は一回も行われていない。
  • 議会の改革。(人、金)量的削減は終わった。政務活動費は無いといけない。優秀な人を集めるにはどうするか。議会全体で市民の付託に応えるべき。チーム議会。議会事務局が頑張れるように。
  • 神奈川の例。議長マニュフェスト 議会事務局なくす(議会局にする)。議会と事務局のありかたを考える。
  • 市民は、議員や執行部には何を言ってもいいと思っているがそうではない。議会報告会など、議員が進行をせず第三者を入れても、正しい意見交換をする。
  • 議会の執行権はチーム議会として行う。サポーター制度、モニター制度(第三者)を通じて議員の仕事を監視。
  • 横浜市議会市議団。条例制定をマニュフェストで。地域と相談。議員提案条例、4年間で7本作った。執行部を変えるチャンス。
  • 岐阜県可児市。教育・・シチズンシップ教育はやる気なし。議長中心に市議会が教育委員会と話しをして、議会が公民教育をする。と動いた。高等学校3年の公民教育を行った。真剣にやろう。商工会議所と議会が取り組んで、成果を出した。→執行部も考え直す。
  • 地方創生法→地方政府を作る。
  • 議会報告会をカフェ形式でやったらどうか?最近増えてきた。ワークショップ形式。ファシリテーター。大学と議会が協働して、対話の方法を改善する。大津市、立命館他の大学と協働。自由な雰囲気ができた。
  • 通年議会。定例会、首長が招集するのはどうか。意見交換会のやり方を変える。議会改革。


事例発表では、長岡市議会 五井文雄氏(長岡市日本酒で乾杯を推進する条例について)、上越市議会 武藤正信氏(上越市議会議会改革のあゆみ)。


情報交換会では、新潟県知事の挨拶も。


先月、来妙のお礼を申し上げました。

2018年8月22日水曜日

持続可能のための協働のプロセスと評価方法

ここ数ヶ月私は、いろいろな必要性から徹底的に「社会的影響力」について学び直してきました。
今の社会を、ずっと続けながらよりよい社会を目指し、後世に残していくために、何が必要でどんな手段が有効か。

そこで出てくる言葉は・・・
多様性(ダイバーシティ)、持続可能性、CSR、SR、CSV、マルチステークホルダープロセス、コレクティブインパクト、SDGs、ESD などです。
それぞれの言葉は検索で調べればいくらでも解説があります。ただ、繋げて理解するのに苦労が要りました。

学びながら経験したことの一つは「同じ方向を向いていると自ずと繋がってくる。」
ダイエットが目的で食事や運動をするというのがありますが、本来、正しい食、正しい運動をしていれば美しく健康な身体になっていくはずで、大事なのは減量ではなく健康であり、後者を実践していると身体の健康ばかりではなく心も健康になり、社会的にも良い影響が与えられるはずです。後から気づく部分もありそうですが、この価値観の違いを知ること、そして本来の目標に対する評価を何に設定するか、これが重要なことです。

社会教育施設を調査していた際に訪ねた民間の子育てシステムが、官民学による新しいまちづくりの一拠点の中にある学びのプログラムであったことに後に気づき驚いたことがあります。
その意味で、縦割りやトップダウンで手段が目的化した事業は理念が抜け落ち、こうした発見は得にくいだろうと思います。ただし、政策はシステムに寄るものですから、価値観の違いを引き合いにするわけにもいきません。

社会的影響力のキーワードは、「協働」です。
そこを、産官学金労言、官民、などと言ってしまうと手段にばかり目が行ってしまいます。
取り組み方として参考になったのが、コレクティブインパクトです。

コレクティブインパクトの5つの条件
①ビジョンの共有
②評価基準の共有
③お互いに補い合う
④コミュニケーションを維持する
⑤独立したサポート組織による支援

一番難しいのが②ではないでしょうか。他は努力目標が立てやすい。

私は地域(住民)がいかに自力で工夫して課題解決をしていくか、それを持続的に発展できるかが地域を単位にしたまちづくりの必要条件だと考えています。
そのために社会教育があり、同時に幼児〜学校〜家庭〜社会、それぞれがバランスのとれた教育システムが必要です。そこに個人、家庭、地域の連続が生まれます。地域が一体となった意思決定の受け皿となります。

教育は保証されているという前提で、さらにそれをまちづくりと繋げていくには、行政の支援が必要です。人と政策と財源です。どれも大事ですが敢えて政策に言及すれば、教育とまちづくりは別個の手段であるところに、いかに共有されたビジョンや補間機能を持たせるかは、行政が司るシステム作りであり、首長のクリエイティビティや戦略にかかってきます。

これからの社会は住民による課題解決が不可欠です。ベースにあるのが持続可能(サスティナビリティ)であることは多くの方が認めています。
財政面ももちろん、コミュニケーションを維持し続けるために、自己改善と発展を継続していくべきです。
そこに、ヒト・モノ・カネをマネージメントする経営感覚が不可欠です。

そうして、教育・まちづくり・ビジネスに関係する多様な主体が持続的に協働するために必要なものは、やはり共通のまたは共有できる評価基準でしょう。これが無ければ同じモチベーションを持ち続けることはできません。

評価方法については、特定の評価指標を予め設定して取り組むのも一つの方法でしょう。その他にも、「社会的投資回収率(SROI)」「社会的インパクト評価」とか、いろいろあることはありますが、そこをどう設定するかはケースバイケースで、その方法すらも正しいかどうか評価することは大変難しい。まだまだ研究の余地があります。

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Creating Shared Value=CSV、Corporate Social Responsibility=CSR
CSVは、協働するお互いがメリットのある活動
CSRは、企業の社会的責任、 SRは、組織の社会的責任

コレクティブインパクト、CSV、CSRの資料(PDFファイル 村越作成、インターネットより文章を引用しています)

2018年8月2日木曜日

H30妙高市地域活性化アドバイザー 朝比奈一郎 氏 講演会 メモ「地方創生とリーダーシップ(始動力)」

朝比奈一郎 氏:青山社中株式会社 筆頭代表CEO ビジネス・ブレークスルー大学 大学院 客員教授、プロジェクトK(元経産省)、地域創造力アドバイザー(総務省 2018)ブログ

  • はじめに:妙高市は知名度がある。リーダーとは、指で導く人のことではなく→リーダーシップ、始動力が地方創生のカギである。
  • リーダーの出来で全てが変わる
    • GAFA ←(30年前は)ホンダ、松下、盛田 。リーダーの差である
    • 無理なこと、不可能なことにチャレンジして当たり前にしていく人
    • Entrepreneurial System Designer ESD →企業システム設計者
  • 体験的リーダーシップ論〜私が始動力に着目した理由〜
    • 「変わらずに生き残るためには、変わらなければならない。」We must change to remain the same.(米国大学、リーダーシップの重要性:変革)※小沢一郎氏が民主党代表選出馬演説で、ルキノ・ヴィスコンティ監督の名画「山猫」に出てくるイタリア老貴族の言葉を引用したことで有名になった
    • 米国の学びは、ケーススタディ。
  • 私の考えるリーダー像 リーダーシップの要諦
    • ✖️みんなが付いて行きたい人  ○やりすぎる力、始動力
    • リーダーとマネージャーの違い(リーダー/マネージャー) Creation創造/analysis分析、personal個人的/positional定位置、synchronize同期する/controlコントロール
    • Management is doing things right, Leadership is doing the right things.(マネジメントとは物事を正しく行うことであり、リーダシップとは正しい事を行うことである。ピーター・ドラッカー
    • 自己を導く→人を導く→社会をリードする)Lead the self → Lead the people → Lead the Society(桃太郎)
    • リーダーのリスク:なぜチャレンジできないか? active non Action(不毛な忙しさ)→Trained incapacity(訓練された無能)
    • コツ:1.怒り 2.仲間、3.タイミング(credit accumulation 信用蓄積 → idiosyncratic behavior 突然変異)
    • 後世に残すことは「勇気ある生き様」
  • 現在の社会情勢を考える〜今、なぜ、リーダーが必要か?〜
  • リーダーシップを発揮するために何を学ぶべきか
    • 野田智義(NPO法人ISL…リーダーシップ教育・社会啓発 基軸力(→人生のケースタディを学ぶ…岡倉天心とか・・)、構想力(→総合的に考える力)
  • 地域の活性化に向けて妙高市の皆さんに期待したいこと
    • これまでは金をどのように配分するか(田中角栄〜竹下登)
    • CCRC、DMO、新しい地方創生、ビッグデータや新しいコミュニティを作っていく。マーケティング、人をどう作っていくか?
    • 経済活性化。自分たちでどう考えていくか。
    • 1.シンボル作り(アイデンティティ) 2.海外展開 3.起業を促す地域エコシステム 4.クリエイティブクラス 5.BtoCシフト 6.融合 7エコノミックガーデニング 8.シュタットベルケ
    • 歴史・食(中心市街地)別院、君の井、笠地蔵、北国街道/健康長寿/高級リゾート


【村越調べ】

  • 8つのキーワードの3番に関連して:多様で活力ある小規模スタートアップを促進するエコシステムの構築に関する研究会報告書(H29 研究会委員(所属・役職名は委嘱時点): 岩野 和生(国立研究開発法人科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェロー) 村井 勝 (一般社団法人 TX アントレプレナーパートナーズ最高顧問) 山田 純 (クアルコム株式会社特別顧問)
  • クリエイティブクラス (on Google)
  • エコノミックガーデニング:米国 環境整備による中小企業の成長支援、ビッグデータ、GIS。商工会議所、大学等連携。※関連:CVS、コレクティブインパクト
  • シュタットベルケ:独国 エネルギーを中心とした地域公共サービスを担う公的な会社

2018年7月18日水曜日

マルチステークホルダー・プロセスの導入と、求められる社会教育的支援

人口減少により、これまで地方公共団体を支えてきた財政構造が崩壊し、地方の自治体運営はさらに難しくなっていきます。
地方公共団体を構成する各地域には、自主自立や共助体制の構築が急務です。
しかし、高齢化・過疎化が進んだ地域にはそれを率先してやるだけの余力がないのが現状です。

振り返ってみると、住民の自主自立の姿を冷静かつ客観的に捉え、時代の要求とともに必要な措置を講じることで、地域課題に対して弾力的な対応が行える人づくりを行ってくるべきだったのではないか。と思います。
今求められるのは、持続的に運営していける地域づくりです。

そのために必要な支援は何かを考えていきます。

行革とマルチステークホルダー・プロセス


経済的な課題を抱える基礎自治体は、より経営的な業務改善が必要になってきます。
「業務や施設の効率化や職員の定数減+アウトソーシング」「財源確保や税金徴収の健全化」といった行政改革がその役を担います。
さらに行革の特徴は民間の活用です。企業やNPO、住民組織との協働は、効率的な行政運営に欠かせないのですが、横の繋がりに乏しく、縦割り行政では一層形骸化していく傾向があり課題となっています。

行革において、行政と民間は対等だと考えます。
行政の提案に対して民間が評価をする、またその逆もあると思いますが、これを推し進めることで、官と民が一体となった施策決定がやれるはずです。

企業のマーケティング的な手法を行政が取り入れていることにも注目です。
例えば政府は、協働で課題解決にあたる合意形成の手法の、「マルチステークホルダー・プロセス」について、「施策決定や事業の開発過程における手順を多種多様な関係者によって決定づけていく」として、”新しい公共”が登場した2010年頃から推奨しています。


(内閣府 マルチステークホルダーの考え方)
http://www5.cao.go.jp/npc/sustainability/concept/index.html

↓以下は項目と解説です

マルチステークホルダーの考え方

“持続可能な発展”への道のりは、決して平坦なものではありません。
 それは、人々の価値観やライフスタイルの変革、経済構造の転換、科学的知見への理解、さらには民主主義や平等の考え方の浸透、市民社会の成熟など、社会のあらゆる側面の変革を要する、壮大なプロセスです。私たち人類の全存在が試されていると言っても過言ではありません。
 この壮大なプロセスは、決して政府の政策だけで完結するものではありません。企業や消費者、投資家、労働者、NPOなど、社会の様々な立場にある組織や個人が、プロセスに参加し、学び、協力し、それぞれの役割を果たすことが不可欠なのです。
 このような課題解決の鍵を握る組織や個人を“ステークホルダー”と呼びます。そして、多種多様なステークホルダーが対等な立場で参加し、協働して課題解決にあたる合意形成の枠組みを、“マルチステークホルダー・プロセス”と言います。
 マルチステークホルダー・プロセスは、持続可能な発展を支える新しいガバナンスのモデルとして、地域の環境政策やコミュニティ政策、企業と市民セクターの共同事業、発展途上国の開発事業や資源管理、さらには国際的な基準策定プロセスなど、様々なプロジェクトに応用できます。


1.マルチステークホルダー・プロセスの定義と特徴

マルチステークホルダー・プロセスとは、3者以上のステークホルダーが、対等な立場で参加・議論できる会議を通し、単体もしくは2者間では解決の難しい課題解決のために、合意形成などの意思疎通を図るプロセスです。

 マルチステークホルダー・プロセスの特徴
 1.信頼関係の醸成
 2.社会的な正当性
 3.全体最適の追求
 4.主体的行動の促進
 5.学習する会議


2.マルチステークホルダー・プロセスの種類

マルチステークホルダー・プロセスは、以下のように、多様な目的において活用することができます。
・利害の折衝
・情報および認識の共有(例:社会的責任に関する円卓会議)
・規範の作成
・社会的正当性の確保
・政策提言(例:市民が創る循環型社会フォーラム(名古屋市))


また、以下は、検索でヒットした、ある自治体の首長による記事ですが、市民をステークホルダー(行政サービスの利用者)と位置付け政策の理解を促しています。
本文より抜粋↓
「近年、ステークホルダーという言葉をよく聞きます。日本語に訳せば「利害関係者」ですが、意味はもっと広いものがあり、例えば、企業においては株主や投資家ばかりでなく、社内の労働組合や取引先、また広く消費者・利用者なども含まれます。このステークという言葉は、「何かの結果によって失う危険のある大事なもの」という意味だそうです。ですから、企業や行政など、ある組織が下す意思決定によって、自らの大切なものに大きな影響を受ける人々、これがステークホルダーの意味であります。本庄市にとって最も大切なステークホルダーは、もちろん8万3千市民であります。そして、同時に行政の個々の事業には事業ごとに、直接関係を持つ人たちが存在しています。例えば、保育行政であれば保育園児や保護者、そして、各保育園関係者が最も直接的なステークホルダーであり、住民自治に関することであれば、自治会長や自治会の役員などは重要なステークホルダーと言えるでしょう。」

(本庄市 最大のステークホルダーは市民)
http://www.city.honjo.lg.jp/shisei/shicho/tukiiti/past/h19nen/1375335394036.html


さて、施策決定や政策実行プロセスに変化が現れている社会で、必要とされる支援は何でしょうか。
冒頭で触れたように、人口減少の諸課題解決のために国から地方へ、自治体から地域住民へと意思決定の移譲が進んでいます。しかしながら今に至る社会教育的なケアが不十分なために、そうした役割を受け止めるだけの力が備わっていないのが多くの過疎地域の実態であると思います。

当市においては、各地の公民館が廃止され生涯学習の名のもとに、コミュニティ維持に直結する自助・共助活動に資する教育的な支援が後退してしまったと考えます。
自主性によって生まれた市民活動やNPOも高齢化や後継者不足などにより、進むべき道の模索に入っています。
「公益性を目的にした団体や地縁団体の中間支援にあたる施策の再建を。」これが市民の潜在的な願望ではないでしょうか。

こうしたことから市民は、まずは現状を分析し自覚を促すことが不可欠です。加えて、コミュニテイ内での対話や互いの理解の促進、情報収集(提供)、共助を促すためのコーディネート機能、リーダー人材の育成に積極的に最大の努力が必要だと考えます。それにより、官民が共通のテーブルで未来の地域を築いていけるのだと思います。

最後に、行政に必要な支援としてあげるなら、将来を見据えた学ぶ機会の創出と公平な提供ではないでしょうか。そのためには教育分野とまちづくり分野、包括的な行革が必要と考えます。

2018年7月16日月曜日

図書館勉強会で得た「人」という提言と、レファレンスや資料の収集について考えた

昨日は、元新潟市立新津図書館長の松原伸直氏をお招きし、市民の主催による図書館の勉強会でした。
全体を通して認識したのは、使う◯、運営する◯、ビジョンを決定する◯、図書館と市民を繋ぐ◯がカギである。ということ。

◯に入る文字はもちろん」です。

勉強の内容は丁寧で基本をしっかりと抑えた良いセミナーでした。「新たに3つの事を覚えよう」という課題が出されましたので、私が新たに勉強したものの一つを紹介します。

【レファレンス】について

(日本図書館協会「知る自由を保障するための図書館の任務に関する声明」より) 
「知る自由」を権利として有する国民に,収集した図書,視聴覚資料,その他の資料と集会室等の施設を提供することが図書館の重要な任務であるとの認識に立って 
1.図書館は資料収集の自由を有する 
2.図書館は資料提供の自由を有する 
3.図書館はすべての不当な検閲に反対する 
という三か条と,これらの自由が侵されようとするとき,団結して,あくまで自由を守るという内容のものでありました。・・・
これにより私達は、「知る事」や「表現する事」を誰にも妨げられない。ということですが、よく考えてみると素晴らしい権利保証(自由)ですね。
知る自由を保証する図書館の、代表的な機能として「レファレンスサービス」があります。
窓口に行って「◯◯◯について知りたいんだけど?」と尋ねれば、適切なアドバイスがもらえるというサービスです。 勉強会で見せていただいた資料にこのようなもの(↓下図)がありました。「浪曲の歌詞が知りたい」「じゃんけんの由来が知りたい」「わらじの作り方が知りたい」・・・ へ〜、なんでもいいんだ。という感じですよね。

そこでこれは以前から思っていたことですが、「これってググればいいんじゃないの?」ということで、上の質問に検索結果のリンクを張っておきましたのでクリックしてみてください。これで図書館の役割は一つ減りました。・・・じゃ無いんです💦

今回知ったのは、「レファレンス記録」なるものがある、ということでした。

記録には、「回答概要」や「使えた資料」「使えなかった資料」等がデータ化されて、そのものが資料となっている点に関心します。
そういえば、さきほどのわらじの作り方が知りたい」のググった結果にも、インターネットの「リファレンス協同データベース」がヒットしています。
加えて、人の想像力によって新たな提案が生まれることもイメージできました。
例えば、わらじの作り方を知りたいと尋ねているこの方って、「作ったわらじを売りたい人なのか?」「履いて旅をしたい人なのか?」「作り方を地域の子どもたちに教えたい人なのか?」
こんなイマジネーションが広げられるのも、人の力ならではではないでしょうか。
これは図書館にとって重要と言われている、人に対してかけるお金の本質を考えるきっかけとなりそうです。

図書館においても、人は人工知能とどう関わるのか?

シンギュラリティという言葉を耳にするようになってきました。
「技術的特異点」と訳されて、人の能力を超えた人工知能などの成果が、社会を変革していくことですが・・優れた学習機能を有するコンピュータが、私達の暮らしに組み込まれ始めていることは事実です。私はこうした機能が人の力の及べない関係性を生み出し、コンピュータと共存した暮らしによって支えられていく時代が、眼の前に来ていると思っています。
人が役に立たない図書館は論外として、人がいても活かされない場面があるのであれば、そろそろそこに焦点を絞っていく時が訪れているのではないかと思います。

近い将来、単純にググって得られないものを与えてくれる何者かが現れるのでしょうが、社会教育行政においても、AIと人との違いや共存。このあたりに興味が湧いてきた今回のセミナーでした。

ところで、レファレンスを実際に使ってみたときのこと

ググっても辿り着けず、図書館によって解決した事例を紹介したいと思います。
資料を手元においておきたい私は、図書館で根を詰める習慣があまりないのですが、先日、妙高市図書館でレファレンスを使ってありがたく思ったことがありました。

先月、レファレンスで利用した資料請求です。


インターネットで検索した論文の取り寄せです。

  • タイトル:小規模自治体の教育行政における意思決定 〜新潟県妙高市における教育委員会制度改革と地域住民の声〜
  • 代金:複写サービス 代 485円(国立国会図書館より)
学校と市民との中間支援的な課題や、学校教育における社会教育との連携に係る問題、行政全体の課題、学校教育と社会教育の統合で生涯学習の理念にそった教育行政を行うための組織論の研究の欠如といった、当市の教育の課題を第三者の目を通して確認できる貴重な資料でした。

松原氏の蔵書で見つけた一冊の本

今回のセミナー会場にずらっと並べられた本の数々。全てに目を通し、読み返した跡や付箋のついた本、こうして持ち主によって選ばれた本の収集は、ググっては出てこない資料の一つです。私も初めて見る本ばかり。

そこで目に止まったこの本。さっそくググってAmazonで購入。
  • タイトル:図書館を使い倒す! ネットではできない資料探しの「技」と「コツ」
  • 本体価格:99円(中古本のため)+257円(送料)=合計 356円
  • 支払い金額:356円 ー 326円(いろんなポイント)=合計 30円
普段の支払いをなるべくキャッシュレスに変更した結果、クレジットカードやいろんなポイントが貯まるようになり、安く購入できてしまいました。3日ほど待つと手元に届くようです。

こうしていろんな形で集まる資料をどうこなしてアウトプットしていくかも、人に係る部分ですね。
あらら、記事を書いてるうちに発送済みの通知が届いてしまいました。

2018年4月24日火曜日

これからの社会教育のありかたについての調査報告

高齢化や人口減少によって地域の課題が深刻化するなか、当妙高市にとっても日常生活の安定維持や持続的な地域運営のために、住民の主体的な取り組みと子どもから高齢者までが一体となったコミュニティの再形成が求められていると考えます。
そんななか私は、このような体制づくりを推進するための社会教育の必要性を強く感じるようになってきました。

全国の公民館はこの十年で、19.6%の大幅な減少(17,143施設から3,366施設の減)となっているそうです。
妙高市も各地区の公民館は廃止され、現在は地域づくり協議会がその役割として存在するのですが、人口減少の進行によって未経験の課題が地域住民に追いかぶさってきていることに対し、果たして現状の地域コミュニティがこれから求められる「自治運営」という使命を果たしていけるか危機感を感じています。

地域が自立していくために必要な、人材とコミュニティを育むための生涯を通しての学びは、それを支える広い意味での学習環境の醸成が不可欠です。
今一度公民館や図書館を始めとした社会教育施設の目的に立ち返り、その果たすべき役割の検証と、これからの時代に合った社会教育のありかたについて検討すると同時に、官民協働をも念頭に置き、市民が一体的に政策形成をしていく必要があります。
同時に課題となっている、これからの図書館の機能や各種公共施設の複合化、そして運営や各種社会教育施設の機能連携に係る所管のあり方についても、自治体独自の考えを導き出す必要があることから、社会教育や生涯学習に係る国の動きや先進事例の調査を行いました。

これらの報告は、私の施策提案に役立てるためのまとめでもありますが、興味をもってご覧の皆さまと意見を交わしたり、私のフィルタを通した知財がなんらかの地域社会形成のお役に立てることを目的に公開するものです。妙高市民だけではなく広域の皆さまからご活用ただければ幸いです。

1.国の動向 - 平成29年社会教育と地域づくりに関する現状把握と提言内容〜平成30年 人口減少の地域づくりの社会教育 -

2.事例調査(平成30年4月)

3.公立社会教育施設の所管の在り方等に関するワーキンググループ(第4回)傍聴

  • 日時:平成30年4月16日(月)16:00〜18:00
  • 場所:文部科学省9階 生涯学習政策局会議室
  • 議題:関係団体からのヒアリング(日本図書館協会、全国公民館連合会、郡山市、枚方市、荒川区)
図書館協会のヒアリングでは、学校と図書館の連携について、施設の複合化や指定管理者制度の課題について、所管部局についての考えかた、判断はどこでするかといった意見交換がなされた。
全国公民館連合会のヒアリングでは、社会教育士の働きかけ、公民館活動の事例から公民館の機能、住民のチェック機能、社会教育主事や教育士の立場や発信について。
郡山市の社会教育行政の組織や所管運営、枚方市の生涯学習センターの所管の再編、荒川区の複合施設ゆいの森あらかわに関して それぞれ質疑応答。

【重要まとめ】新しい地域づくりに向けた社会教育のありかた(文科省 生涯学習関連)

平成30年3月2日 文部科学大臣から中教審に対し、「人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について」の諮問がなされました。(htmlpdf
内容を要約すると、こうです。

  • 少子高齢化により、地域社会において高齢者・若者が孤立し持続可能な危機にあるなか、「住民が主体となった極力行政に頼らない独自の集落づくり」によって、活性化や生きがいづくりに繋げている事例は少なくないが、それが全国に広がっていると言い難い。
  • また、H29.3「学びを通じた地域づくりに関する調査研究協力者会議」の提言により、新しい学びの場や社会教育施設による社会教育の貢献や、ICTの対応力身につけ地域活動に活かすことの重要性が認められている。
  • 近年、公民館、図書館、博物館等には従来の役割に加え、地域活性化・まちづくりの拠点、地域の防災拠点などとしてより幅広い役割も期待されるようになっている。高齢者福祉施設整備も求められ、今後こういった施設の複合化も進むだろう。
   ↓このように、公民館、図書館、博物館等において様々な地域課題に対応するため、社会教育行政部局とまちづくり関係部局、福祉・健康関係部局、産業振興関係部局、教育機関、企業、NPO法人等の多様な主体との連携に留意しつつ検討する必要がある。
検討事項】
  1. 関係者の連携と住民の主体的な参画による新しい地域づくりに向けた学習・活動の在り方
  2. 公民館,図書館,博物館等の社会教育施設に求められる役割
  3. 社会教育施設が求められる役割を果たすために必要な具体的方策
上記第二において御検討いただく役割を果たす観点から、社会教育施設が、地域の実情を踏まえつつ、地域活性化やまちづくり等の分野と効果的に連携を図るための運営の在り方や振興のための方策について、その所管の在り方も含め、御検討をお願いします。

※この諮問については、H30年中に答申がまとまる予定とのことです



上記の「学びを通じた地域づくりに関する調査研究協力者会議」の発表による、論点の整理はこのようです。(H29.3)

人々の暮らしと社会の発展に貢献する持続可能な社会教育システムの構築に向けて 論点の整理」(抜粋)

2.社会教育の現状
 ○近年の社会教育の状況を概観すると、社会教育施設に関しては、平成27年10月現在、全国に公民館が13,777施設、図書館が3,336施設、博物館が5,683施設存在している。これらを平成17年10月時点での施設数と比較すると、図書館は2,979施設から12.0%と大幅に施設数が増えている一方、博物館は5,614施設から微増であり、公民館に関しては17,143施設から3,366施設減り19.6%の大幅な減少となっている1。
 ○社会教育施設の利用者数に関しては、平成26年度間において、公民館は1億9,310万人、図書館は1億8,138万人、博物館は2億7,791万人がそれぞれ利用している。これらを平成16年度間の利用者数と比較すると、図書館は1億7,061万人から約1千万人、博物館は2億7,268万人から約500万人増えている一方、公民館に関しては2億3,312万人から4,000万人減り17.2%の大幅な減少となっている。
 ○社会教育を推進する専門的職員の数に関しては、平成27年10月現在、社会教育主事が
2,048人、司書が1万9,016人、学芸員が7,814人となっている。これらを平成17年10月時点での職員数と比較すると、司書は1万2,781人から約1.5倍に増えており、学芸員も6,224人から約1.25倍に増えている一方、社会教育主事に関しては4,119人から半減している。
 ○また、教育委員会の諮問機関であり、非常勤の職である社会教育委員の数についても、平成13年10月の3万6,709人から平成23年10月の2万272人まで過去10年間で約45%の大幅な減少となっている。
 ○図書館や博物館などの社会教育施設については、関係者の努力もあり、おおむね順調に発展していると捉えることができるが、公民館や社会教育主事、社会教育委員の減少傾向に関しては、社会教育の振興を図る上で憂慮される状況にある。この背景には、少子高齢化と人口減少の進展、市町村合併、地方行財政改革など様々な要因が存在する。以下に社会教育を取り巻く環境の変化と課題を明らかにし、今後の社会教育の在り方とその中で公民館や社会教育主事等に期待される役割を整理することとする。

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今後、社会教育にもたらす影響と課題

イ)社会教育の利用者の高齢化と減少
ロ)長寿化に伴う国民が社会変動の影響を受ける期間の長期化に対応した学び直しの機会の提供の必要性
ハ)社会教育主事など社会教育に携わる人材の高齢化と人材確保の困難
ニ)小学校区を単位として整備が図られ、現在でも全国に13,777施設が存在する公民館の地域コミュニティ機能維持への貢献の必要性
ホ)人口減少局面では、交流人口の拡大が地域の活力の維持・向上において重要となることから博物館など社会教育施設の交流人口拡大への寄与の必要性
へ)高齢者の社会参加の促進と多世代交流による地域づくりの必要性

社会教育への期待

地域コミュニティが衰退し、つながりが希薄化する中で、社会教育には、その活動を通して人と人との交流を促進し、地域に新たな価値をもたらすような「仕掛け」づくりを進めることで、地域コミュニティの再生・活性化に貢献することが期待される。
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【参考資料】

  1. 人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育に関する現状/状況把握/事例/参考文献(2018年2月5日 第88回 生涯学習分科会 配布資料)
  2. 中教審 生涯学習分科会(文科省サイト)