心境について
議員は選挙に勝つという大前提があります。
私は時に、有権者のために行うことと自分の正義感や体質との矛盾を妥協したり、自分を偽るようなこともやりながら勤めてきました。市民のための仕事なので当然です。
そこで、きちんと処理できる人が続けられるのですし、取捨選択を的確に行い課題をこなせる人物が政治家に向いているのでしょう。
"先生"と呼ばれて頭を下げられる立場については全く興味がなかったので、そのために議員であることの意義や価値については一切考えたことがありませんでした。
溜まりに溜まった課題に向き合うだけの自身の実力不足を認め、今は大人しく自分が自分のパフォーマンスを最大に発揮できるように、必要と思う時間を費やす選択をしました。
議員の多忙と危険なスパイラル
勉強を怠っている議員が少なくないのが現状、個人的な印象です。
市の条例や要綱、総合計画と個別計画、それらの内容と相互関係、財政上の仕組み。
そして行政経営方針や市長の施政方針、国政・県政・市政の関係性、中長期的な計画を俯瞰的に監視する活動、その上での政策提案(社会経済、環境、子育て教育の課題、医療福祉、防災などなど)。
果たしてこれは議員一人でやれることでしょうか?
一般的には、分野に特化するか、予算執行や事業の進捗を時々の断面でしか見ざるを得なくなる。選挙絡みで多忙な時期は、全く勉強が足りていないにも関わらずなんとなくやり過ごしてしまう。また、そんな仕事のしかたをしていても、たいていの有権者は許してしまいます。なぜなら、議会活動を評価できるほど(全員とは言いませんが)市民は議会に関心が無いからです。
そんな中で麻痺した議員が、自分の権力を勘違いしたらたいへんなことです。
議員の本来は、地域の将来に対する地道な研究と提案、監査、指摘、指導、新たな人脈形成が大切だと思います、これは私の考えです。ところが、市民や地域の自主性を重んじ育てることをせず、水を引っ張ってくるほうに軸足が行ってしまう議員が少なからずいること。さらに議会活動を評価できない市民の多いこと。
ニワトリと卵のようですが、市政や議会に関心が向かないことで議会における議員の評価ができない。議員のなり手がいない。議会が成長しない。関心が向かない・・
この悪循環に、「議員は忙しいから」とあえて養護しません。議員にもちろん責任があります。
選挙について雑感
一般的に議員は、時間が全く足りなくて勉強素材や課題がどんどん溜まってしまい困惑しそうなものなのに、その苦痛を嘆く声を前の議会では聞いたことがありませんでした。言葉にしないだけで内心は違っていたのだと思いますが。
状況を正しく分析したり本質が見抜けなくても選挙にさえ勝てば議員でいられる。もしそんな認識でいたとしたら、執行部からそんなレベルの議会に対し、「町を維持・成長させるためのパートナーとして」は扱ってもらえないでしょう。
執行部の上部は議会を乗り切ることだけ考えて、部下は、横の連携や事業の成長など考えず、市民のための仕事を実感できないまま、自分の眼の前の仕事だけ片付けて上の指示を仰ぐだけ。
市も議員も市民も誤解の中で4年が過ぎ、議会活動は評価されずに数ヶ月のアピール合戦と客の奪い合いの人気投票みたいな選挙を迎える。そうではなく議会での仕事ぶりを評価して欲しい。
他の自治体の実態は分からないので断言はできませんが、地方自治体レベルの議員でしたら政党との繋がりや特定の支援団体が無くても当選できると思います。だから、執行部に純粋に疑問点をぶつけられる議員や、市民の代弁ではなく、自分主体の発言や思いつきの意思表示ができる新人議員がいたりしても、それも多様なまちづくりのために貴重な存在だと思います。
私は今ギリギリ、精神的にどちらつかずの時期にある今だから喋れる事として、「議会はもっと発信して、市民はもっと主体的に市政に参画すべき」です。
パートナー型議会運営へ、そこにサポーターが必要
議員(議会)にはサポーターが必要だと考えます。
昔の政治家のようにこの人に任せておけば、の時代ではありません。議員は市民のパートナーとして活動し、市民は市政に脚も頭も口も突っ込んで自己実現と、自ら地域の課題解決をすべきです。
そのためには議員や議会には中間支援的なサポーターが必要です。彼らは時間のコスパをあげ、効率よく議員(議会)活動を発信し、市民が議会を把握し、それによって市民の主体的な自治に向けた政策提案を実現するよう振る舞います。
議会事務局においては議員を支え、より質の高い議会運営をするための影武者として。
事務局の増員や議会局の設置など、執行部はそうした検討をすることは無いでしょう。
議会が成熟するのが本来ですが、それを議会だけに担わすには荷が重すぎる。
まずは、市民が議会をチェックして、議員をしっかり評価すべきです。
市民がそれぞれのフィールドで、議会について意見交換するような場も欲しいです。
そうした中から、私達の自治体に必要な議員像や議会を作り上げていくのが大事ではないでしょうか。
振り返って
私が議員の時に発言したり、提案したことなどなど、責任を持って行動したつもりでしたが、満足な動きをして貰えなかった悔しさを忘れることはありません。ただし、議員がいくら頑張っても、市民が動かない自治体では何も変えられない。今はそう納得して、市民の義務と権利を見返しつつ、市民の役割を一所懸命やろうと考えています。
もう一つ、これまでは住民、市民を最優先に考えてきましたが、よりよい社会のために自分も大切にすべきと思いました。