2019年1月18日金曜日

自己責任社会は終わり、皆んなが支えあう社会へ(幸福の増税論 井手英策氏の講演より)

1月16日、市町村アカデミーのセミナーの一本。井手英策教授よりご講演をいただいた。
社会保障は一部の困窮者のために支援するのではなく、これからの社会では皆んなが支え合うことで将来不安を軽減し、皆んなで幸せを享受できる社会設計をしていく必要がある。そうした社会づくりのための方法としての税負担(税率25%)の提案である。福祉の地域への丸投げではなく、コミュニティ作りをセットで。中間支援となるソーシャルワーカーの存在など、現在も問題視していかなくてはならない課題についても言及。人口減少で今後避けては通れない社会保障の経済的問題に対してどのようにアプローチしていくか、勇気が持てる提言であった。

(資料より)

 井出英策氏(画像 Facebookより)

「転換期の日本経済〜自己責任社会をこえるために〜」 慶應義塾大学経済学部教授 井出英策

■1月16日9:00〜10:30 市町村議会議員特別セミナー 千葉市 市町村職員中央研修所(市町村アカデミー)にて 村越のメモ
  • 日本経済はいい話がない。「幸福の増税論」日本の社会保障は先進国では、まぁまぁいいほうだが、現役世代の取り分が高齢者向けに対して少ない。→経済実感がない理由なのではないか。勤労倹約→自己責任社会。平成の貧乏物語。安倍政権1.3%成長のいざなぎ超え?。共働き世帯が25%増、勤労者実収入10%減。現在の収入では苦しいと考えている世帯が50%。日本の経済力、GDPは世界4位→22位へ。1人2万円で泊まれるホテル、世界から見ると日本の高級ホテルは安い。そうして外国人が日本に来ている。40〜60代の自己責任を果たさなければならない世代が自殺した。日本経済は成長する力がないことを官邸が認識し、子どもの社会保障に転換した。
  • 格差是正、弱者対策を言っているリベラルが勝てないのは対象が少数だから。低所得を支えようとしているが、一般のかたは自分を底流とは思っていない。自己責任が果たせないと認めると中流以下になる。意識は、自分にかかる税は多く、その他には低いと考えている。その人が中流、主流。全ての人に「ベーシックサービス」昔の自治の暮らし。大勢の人に対して使う。医療教育介護に出す。貯蓄ゼロでも不安ゼロ。消費税7%増で貯蓄しないでよくなる。みんなのためにとやると新しい循環が生まれる。泉房穂ふさほ 明石市長も同じ考え。
  • 核心:高齢化少子化→ 支え合う共に生きる考え方。農村、暮らすために人々は一緒に暮らして生活を防衛しないといけなくなった。村。飢餓饑饉に耐えた。共に生きる。スウェーデンは19世紀初頭は貧しかった。1930年には失業率が 「国民の家」という演説、「家族のように支え合う」。社会保障という言葉を作ったのはアメリカ。ルーズベルト「平均的な市民と家族に対して手段を提供する」。危機の時代は誰かが困る時代ではない、全員が困る時代。
  • 周回遅れのトップランナー理論:お客が変われば、周回遅れはトップランナーになる。危機が深ければ深いほど。潰しが効いて転職しやすいのが金融だ、と学生が言う。社会の価値観が変わった→お客さんが変わった
  • 皆んなでスーパー、ガソリンスタンド、共有財産を増やしていく(国でやれば社会主義)。 公共私のベストミックス。危機に直面すれば人々は支え合う。住まいサポート福岡:市や社協が中心になって、共の領域を各種支援団体にはたらきかけてやった。保険、見守り・・。これまでの行政はサービスプロバイダー、今後はプラットフォームビルダーになっていく。地域地域で多様。ボランティア団体、NPO、自治会町内会、PTA、生協JA労働組合、協議会、行政、民間企業を巻き込んで地域の課題を解決していく。問題は、地域の中のプレイヤーを結びつけていく役割が必ず必要になる。地域資源を発掘、ネットワークしていくための接着剤となる人。→ソーシャルワーカー
  • 重要:地域の課題解決は、背景にある問題の特定、原因を突き止め、解決のためにいかなる人を動員すべきか、行政社会の資源、プレイヤーを結んで解決していく人材→これがソーシャルワーカー。総務省が自治体戦略2040構想で、ソーシャルワーカーについて言及した異例の事態。90年代に福祉ミックス論があった。政府を小さくすることの言い訳。福祉を地域に丸投げすることは絶対あってはならない。公の果たす役割、コミュニティ作りをセットでやらないといけない
  • 全国市長会「協働地域社会税」(地方協働税)。全自治体で一斉に税を上げる可能性を模索。その税収をコミュニティ機能強化のために使う(例えば、公共交通、コミュニティ拠点の運営経費、見守りの仕組みづくり、地域社会を支える人材育成、確保の経費)
  • 地方制度調査会(首相の諮問機関)で、「地方公共団体の協力関係、公共私のベストミックスその他、必要な地方行政体制のあり方について、調査審議を求める」など、与野党各分野からも。一斉に同じ方向に動いている。議員はどんな制度設計をすべきかを求められている。
  • 税(痛み)が、暮らしの会費に変われば。(少子化、受験戦争、東京一極集中、働き方、環境問題、児童虐待・・)なぜ定時に帰れないか?自由(人間の権利)が与えられていない→将来不安があるため(経済成長に依存)。24時間やってるコンビニがいるか、ファミレスが必要か、プラスチック減る、電力消費減る、環境変化、虐待なくなる。将来不安を解き放つ、政治を担う皆さんの責任。

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